法人企業部門 行動事例③

目標達成へ向けた行動事例③ 名代「富士そば」を経営するダイタングループ

30年間、業態を守り続けた「富士そば」が、4カ月で新業態オープンに
チャレンジ。その結果は?

「富士そば」の暖簾を掲げない、女性向けの
新しい飲食店コンセプトをつくるには?

背景

「立ち食いそば」という業態を開発・確立した「富士そば」。関東中心に約100店舗をもち、知名度抜群。安定した業績を続けるものの、ビジネスモデルはすでに成熟期。男性中心の顧客層は広がりも限定的なため、経営幹部はエキチカ等にも出店しやすい女性向け新業態の開発を検討していた。

結果 チャートを描いてから、急速に変化が起こりはじめた。たった4カ月後には――富士そばの原点である、ほっとする空間をコンセプトとした新店舗――韃靼蕎麦『たったん』をオープン。初日の売上げは、いままでの店舗の倍。日経新聞をはじめとして、メディアにも立てつづけに報道された。
フューチャーマッピングによる気づき

女性ターゲットを想定していたが、フューチャーマッピングの結果、必ずしも女性にこだわる必要はないということに。しかも当初考えていた、今後の成長を担う新業態を開発するというテーマは表層的なもので、根本的なテーマは「富士そば」の強みの理解をグループ全体に浸透させていくことが明らかに。

発見したテーマ

創業者への恩返し -- 富士そばDNAの継承

これは全国100店舗・名代「富士そば」を経営するダイタングループが、新業態開発を行う際に、経営幹部を集めて描いたフューチャーマッピングだ。当初は、女性向けの、新しい飲食店を出そうというアイデアがあり、健康志向のメニュー開発を考えているところだった。これは幹部にとって、2つの点で大きなチャレンジだった。まず「富士そば」の暖簾を掲げない店舗を創ること。つまり、いままでのブランド資産に頼れない。次に女性ターゲットを想定していること。富士そばの既存客の8割は男性客であり、女性向け飲食店の経験はあまり豊富ではなかったことである。
そこでグループの経営幹部4名、そして顧客代表3名が集まり、3時間程度の会議をもった。
結果は、どうだったか?
フューチャーマッピングをつかって、話をすすめていくと、でてくるキーワードは、「コミュケーション」「マネジメント」「社員寮」「二世代の会話」といった、女性向け業態開発と関係ないものばかりだった。これが意味するところは、頭で女性向け飲食店の収益性を算段しているだけで、内心あまり現実性を感じていないということだ。
そこで大きな疑問符が浮かびはじめた。
本当に、女性向けの蕎麦店を開発するのが正解なのか?
対話をさらに深めていった結果、このプロジェクトの真のテーマは、新業態開発ではなかったことに気づきはじめた。真のテーマは、さきほど挙げたキーワードから類推できるように ―― 富士そばの暖簾をかけなくても、引き継ぐべき富士そばの強みをグループ内に浸透させることだったのだ。
幹部のひとりは、会議を終えるにあたって、次のように締めくくった。
「新しい業態づくりが目的じゃなく、このプロジェクトをきっかけに富士そばの強みを、未来へと引き継ぐ覚悟が重要なんだよな…」
覚悟という言葉がふと口からもれたときに、その場の温度が明らかに変わった。

そこから、プロジェクトはさらに加速する。
幹部のなかで「社長への恩返し」という共通意識が生まれた結果、メニュー開発、ターゲット、店舗コンセプト、レイアウト、ロゴ、ネーミング等々、スムーズに進んでいった。とくに味については、妥協を許さなかった。味さえ納得いかなければ、この企画自体を終わりにする覚悟だった。試食を何回も何回も繰り返し、遂に「これは…!」という唸るほどの味ができあがった。
あのチャートを描いてから、たった4ヶ月。富士そばの新しい試み ―― おばちゃんといるみたいな店・韃靼蕎麦「たったん」は、10月10日10時にオープンした。このプロジェクトだけでも大きな変化だったが、その後、さらに海外からの出店要請もあり、そちらも決定。いままで暖簾を守ることに慎重であったグループ内が、突然、水を得た魚のように動き出した。それは創業者に対する恩返しという共通の物語が動き出したからに、他ならなかった。

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